2014年07月30日

平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座

『岡谷酸素太陽光発電所SUWACO Labo』が地域にもたらす経済効果について
《日時》平成26年7月28日(月)15:00~16:30
《会場》長野県庁西庁舎109会議室
《講師》立命館大学経営学部教授 ラウパッハ・スミヤ・ヨーク氏
主催:自然エネルギー信州ネット
協力:岡谷酸素株式会社


諏訪湖畔にある豊田終末処理場の屋根を活用した『岡谷酸素太陽光発電所SUWACO Labo』。諏訪地域における経済効果、また広く長野県における経済効果について共同研究・調査をしてくださるラウパッハ先生と自然エネルギー信州ネットとのご縁は、今年2月に福島県で行われた『コミュニティパワー国際会議』。ぜひ、長野での取組みを研究したいとのお申し出があり、おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクトの経済効果について共同研究をお願いすることになりました。

平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座


冒頭、岡谷酸素(株)の嶋田さんより、『岡谷酸素太陽光発電所SUWACO Labo』についての説明がありました。発電開始から7ヶ月たって、大変順調に推移しています。予想していた発電量より実際はかなり上回っています。発電所では1メガのパネルを区画を分けて、3社のパネルを使うエリア、またパネルの角度を違えて発電効率の検証を行うエリアを設けています。その比較については、ホームページより誰でも見ることができるようになっています。http://www.suwacolabo.co.jp/

平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座
平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座


■ラウパッハ先生自己紹介
「ドイツ出身で日本にきて25年、立命館大学の教授だけれど学者でも研究者でもなく、ずっと企業で働いてきた。企業の目、経済的・経営的な視点から調査・研究をしています。」

平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座


■ドイツの現状について
「現在ドイツでは再生可能エネルギーでの電力供給が24%、ドイツの経済成長は再生可能エネルギーが支えているといっても過言ではありません。しかも再生可能エネルギー事業に出資しているのは、農家や市民が45%。再生可能エネルギーは、小規模多数なので市民が出資しやすく、市民発電所がたくさん設置されています。組合法ができてからは、さらに市民が参加しやすくなり、地域で再生可能エネルギー自給率100%を目指す自治体も多いそうです。人口百万人のミュンヘンから、10万人のラインフンスリュック地域まで、規模に関わらず目指せるのです。ラインフンスリュックの例をあげると1999年に『独自の環境・エネルギー政策』を策定、2006年には『包括的なエネルギー政策』展開、2011年には『温暖化防止総合政策』を決定しています。要するに5年あればできるのです!2009年に54%だった自給率が2011年には105%、2012年には149%、2015には286%を予想しています。風力発電、太陽光発電、バイオマスが主です。バイオマスはいわゆる地域のゴミ、端材を使っています。また、メガソーラーで売電した利益で廃校を老人施設に改造、雇用も生み出しました。ほかの地域でも、再生可能エネルギーパークや地域暖房を取り入れています。日本を見た場合、風力発電が足りていない。技術開発により、少しの風でも発電できる風車ができています。北海道や東北でなくても、少しの風で常に発電ができる、これを普及させることが大事であると思います。」

平成26年7月28日(月)おひさまBUNSUNメガソーラープロジェクト ミニ公開講座


■再生可能エネルギーによる経済効果の定義と試算方法
「ドイツのエネルギー政策は、経済・産業・技術戦略です。海外の資源に依存せず、地域循環型経済を構築、逆に輸出産業へと成長させました。経済的付加価値についての定義ですが、ひとつは『再生可能エネルギー産業における各段階の経済的活動のインプットとアウトプットの差額』です。もうひとつは『経済的活動による価値のステークホルダーへの分配』です。従業員の所得、地域金融機関の利息収入、自治体の税収、事業者の利益などが考えられます。また、各段階とは企画・計画、製造、建設・設置、事業運営、事業マネジメントなどがありますが、企画や製造、設置は一時的なものであり、多くは運営、事業マネジメントに付加価値がつきます。」

■日本版の地域経済付加価値モデル、SUWACO Laboの場合
ドイツの試算モデルをベースに、日本版モデルの骨組みを構築しました。飯田哲也さんの環境エネルギー政策研究所と一緒に、日本版モデルの検証をしていくことで、事例研究を進めています。SUWACO Laboのような代表的プロジェクトの研究、長野県全体の地域経済付加価値のシミュレーション、先進都市である飯田市や下川町(北海道)の事例研究。そして日本版モデルの拡大をしてゆき、京都大学経済学部の諸富教授とも共同研究を行います。試算表を作っていくのですが、地方税の仕組みが複雑で、なかなかシンプルにはいきません。SUWACO Laboの事例を分析したのですが、直接的に効果があったもの、第一次波及効果、そしてこれからの第二次波及効果、1メガですが5億円の地域経済への不可価値があると確信しています。これから20年、製造・設置段階では15%ぐらいの付加価値で、実際は20年間累計の事業運営に多くの不可価値が生まれてきます。また、事業主だけでなく、第三者の業者・雇用者の利益・所得と地域税収がそれぞれ約20%となることも注目したい。地元の事業者が投資をすることが、地域付加価値創造の鍵です。ざっくりとした話になってしまいましたが、これで終わります。」

会場からの質問タイムでは、みなさん熱心に質問をし、先生からも丁寧に回答していただきました。再生可能エネルギー24%ではあるけれど、原子力や褐炭に頼っている部分もまだあり、課題は残っているそうですが…ドイツに見習うところは大きいですね。

(レポート:K.Tamura)




Posted by 自然エネルギー信州ネット at 16:36│Comments(0)
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